d4f53ff4.JPG イタリアのフィレンツェの世界遺産に、皆が落書きをして物議をかもし出している。
 基本的に落書きは破壊行為である!!

 では落書きは単なる破壊活動であるかというと、そうとは限らない。
 ストリート・アート、現代芸術として認められているようなものも存在する。

 歴史的に古いものでは、フランス・ラスコーの洞窟壁画は、落書きの一種のような気がする。もしかしたらナスカの地上絵も、宗教的な意味合いは十分にあったものと考えられるが、描いた人たちは考古学的に重要になるから・・・芸術だから・・・と思って書いたかといえば、必ずしもそうではなかったような気がする。

 では壁画にどのようなものがあったかというと、古くはエジプト・ルクソールの壁画、
比較的新しいところで、ミケランジェロのバチカンのシスティーナ礼拝堂の「最後の審判」、レオナルド・ダ・ヴィンチによるミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の壁画「最後の晩餐」などもあげられ、枚挙に暇は無いが、非常に評価の高い芸術である。

 今回の世界遺産に落書きしたのは現時点では99%落書き=破壊である。では街中などの落書きについてはどうか?・・・大抵は落書き=破壊と評価して良いような気がするが、時として明確な線引きをして、どこからが落書き、どこからが芸術・・・どこからが破壊、どこからが創造と分ける事が困難な話である。

 この落書き問題も、いつものように我々が求められるモラル、常識、バランス感覚の問題である。

 ただ焼酎の文化史において、今年の5月13日当ブログ「焼酎の起源について」に書いたとおり、鹿児島県大口市の郡山八幡宮の本殿の建具の板の裏側に書かれ、建物の解体のときに発見された落書きは永禄2年(1559年)8月頃の日本最古の「焼酎」に関する資料とされている。その内容は「神社の解体工事の時、施主が大変けちだったので一度も焼酎を振る舞ってくれなかった、とてもがっかりした」というもので、やはり落書きである。しかし焼酎文化史上は、この時には芋を原料としなかった焼酎が存在したという事を示す貴重な資料である!!

・・・これはまさしく落書きだと思うし、芸術であるとは感じない! しかしこの落書きが焼酎文化史においては重要な資料である。・・・私も個人的には嬉しい落書きだと思っている!!

・・・しかし今回の世界遺産に書かれた落書き・・・
  ・・・もし世界遺産にかかれた落書きであっても、消されること無く生き残り、その落書きの主が歴史に残る事をしたり、落書きの内容が歴史的な意味を持ってくれば、その時は再評価される可能性がないわけではないが・・・